かつて釧路に背の高いひょろっとしたスタイルの電機が活躍するナローゲージがあった。
採炭場から春採の選炭工場まで1キロメートル余りを結んでいた。
軌間は610ミリメートルで電化されており、凸型の電気機関車が炭車を牽いていた。
路線の両端はループとなっていて、そこを運行する列車は止まることなくぐるりと一周まわって積み荷である石炭の積み降ろしを行っていた。
ここで活躍していたのは東芝製の8t機関車だった。
列車は操業時間中は結構頻繁に運行されていた。
当時は北海道ではまだ結構な数の炭鉱が操業されていた。
中でも太平洋炭礦は最先端の採炭技術を採り入れていると聞いていた。
そのためこの炭鉱と軌道は安泰だと思っていた。
しかし私が訪問した数年後には輸送力増強の為に、魅力ある機関車は大型の機関車に役目を譲った。
さらに数年後には軌道自体が廃止となってしまった。
いつかまた訪問したいと思っていたが残念ながら行くことができなかった。