まだ青函トンネルが開通する前の青森駅は北海道への玄関口として賑わっていた。
昭和50年代半ばには北海道への移動手段は航空機利用者の割合が鉄道利用者の割合を大きく上回っていた。
それでも東京・大阪など各方面から多くの列車が発着しており、またそれに接続するように青函連絡船が運航されていて活気があった。
私が学生時代に渡道するときには迷うことなく鉄道を利用した。
当時は『北海道ワイド周遊券』が発売されていて安く旅行することが出来たからだ。
北海道ワイド周遊券の周遊区間までは、急行列車の自由席を急行券なしで利用することができた。
その為大抵は、上野から夜行急行の自由席で一晩かけて青森に向かった。
青森では眠い目をこすりながら青函連絡船乗換口へ向かい青函連絡船に乗り込んだ。
北海道まではとても長い時間だったが、海を渡って函館に着いたときには『北海道に来たんだ!』という実感がわいた。
青森駅では忙しく乗り換えることが多かったが、短い乗り換え時間を利用してホームの立ち食いそば屋で腹ごしらえをして夜行急行に乗り込んだ事も今では懐かしい思い出である。
2014年、久しぶりに訪れた青森駅は閑散としていた。
ストップ側にあった青函連絡船乗換口へ続く跨線橋は撤去されていた。
ホームにあった立ち食いそば屋はなくなっていた。
長いプラットホームに何となく面影が残っていたが、その長いホームを持て余したように短編成の普通列車が停まっていた。